株式会社 守谷商会

技術解説(線源の壊変数補正)

Berthold Technologies(ベルトホールド)社

ここで紹介されるレベル計や密度計は、放射性同位元素を使用しています。

放射性同位元素、例えばセシウム(137Cs)を固めて密封したカプセルの中には、たくさんのセシウム原子が含まれています。そして時間の経過とともに、常にそのセシウム原子の一定割合がガンマ(γ)線を放出してバリウム(Ba)原子に変化しています。この現象を放射性同位元素の崩壊(壊変)と言います。 バリウム原子は安定同位体なので、以降は放射線を放出しなくなります。

数学的には、セシウム原子の数をxとすると、時間tの経過とともに一定割合αの原子が(γ)線を放出してBa原子に変化し、セシウム原子の数が減少します。具体的には以下の微分方程式で表されます。(以下の式は読み飛ばして構いません。時間の単位を秒にした場合、137Csではαはだいたい6千万分の1程度の値です)
dx/dt= -αx
xとtを等号の左右に分離すると 1/x dx= -αdt

両辺積分すると、∫1/x dx=-∫αdt つまり ln⁡(x)= -αt+定数C

これから、x=exp⁡(C)×exp⁡(-αt) というxの時間経過を示す式が得られます。

この式が示すことは、時間とともにセシウム原子の一定割合がγ線を出して崩壊するため、セシウム原子が時間の経過とともに指数関数に従って減り、同様にγ線の発生数も減ると言うことです。 セシウム原子の数が非常に多いため、実測と計算は良く一致します。 余談ですが、放射線の世界では、時間(秒)あたりの崩壊数はベクレル (Bq) という単位を使います。どこかで見られたことがあると思います。

放射性同位元素は、時間の指数関数で放射線が弱くなります。

初期のアナログ回路を使ったレベル計は、セシウム原子が半分に減る30年近い時間(半減期)を正確に測定するのは不可能でした。 時間の経過で放射線が弱くなった分を補正すれば測定値がずれないことが判っていても、実際のアナログ回路で補正計算はできませんでした。

デジタル回路とクオーツを使用すれば、経過時間をきわめて正確に測定することができます。 ただし、初期のデジタル回路では電源を切っても時刻更新を継続する専用回路を追加すると高価で複雑になるため、採用されませんでした。 時代が進むと低価格な時計用ICが使えるようになりましたが、使用する為には日付などの初期設定のためのユーザーインターフェースが必要になります。 また、指数関数の数値計算には複雑な処理が必要となるので、現実的にはマイクロプロセッサが必要になります。 したがって、デジタル回路方式でも古い設計では、放射線が弱くなった分の補正を行っているものは、ほとんどありません。

ベルトホールド社のレベル計や密度計は常に新しい設計を取り入れて改善されており、タッチパネルを備え、ユーザーが簡単に操作できるようになっています。 これらは内蔵時計の日付を使用して指数関数を数値計算し線源が減衰した割合を正確に補正しています。 この機能により線源の減衰によるドリフトはゼロになります。 また、検出器側も宇宙線などの外部基準を使用して測定中でも自動で感度を安定化させています(常時自動校正機能・同社特許DE1809520C3)。 この両者を組み合わせることで、計測器側にあるドリフト要因を除去し、驚くほど安定した測定を実現しています。

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